はじめに:格安SIM×デュアルSIMは最強じゃないの?
近年、スマートフォンの維持費を節約する手段として注目されている「格安SIM」。
大手キャリアから乗り換えることで、月々の通信費を大きく抑えることができるため、多くの人が利用を検討しています。
さらに「デュアルSIM対応」のスマートフォンを使えば、「通話用SIM」と「データ通信用SIM」を分けたり、海外旅行時に現地のSIMを併用したりと、より柔軟な運用が可能になります。
中でもiPhoneは、デュアルSIM対応モデルが主流となっており、「格安SIM×格安SIM」で最強のコストパフォーマンスを狙いたい…という人も多いはず。
しかし、ここで注意すべき落とし穴があります。
実はiPhoneでは、「格安SIMを2枚同時に使う」運用に制限があるのです。
その原因は「プロファイル(APN構成プロファイル)」の仕様にあります。
デュアルSIMとは?iPhoneではどう使える?
まずは簡単に「デュアルSIM」について整理しておきましょう。
デュアルSIMとは、一台のスマホで2つのSIMカード(またはeSIM)を同時に使える機能です。
iPhoneでは、以下のようなSIM構成が可能です:
- nanoSIM + eSIM
- eSIM + eSIM(iPhone 13以降の一部モデル)
これにより、たとえば以下のような使い方ができます。
- 通話用とデータ通信用のSIMを分けて運用(通話重視&大容量データ通信を安く)
- プライベートと仕事用の番号を1台のスマホで管理
- 海外旅行先で現地eSIMを追加して通信費を節約
とくに「通話は月額が安いプラン、データ通信は大容量の別の格安SIMで」といった格安SIM×格安SIMの組み合わせは、コスパ重視の人にとって理想的です。
…が、ここにiPhone特有の制限があるんです。
iPhoneではAPN構成プロファイルは1つだけ
格安SIMを使うには、たいていAPN構成プロファイルという設定ファイルをインストールする必要があります。これは、SIMごとの通信設定をiPhoneに教えるためのものです。
ところが、iPhoneではこのプロファイルを1つしかインストールできません。
つまりどういうことかというと、
格安SIM Aのプロファイルを入れると、格安SIM Bのプロファイルが消える
という仕様なんです。
このため、以下のような構成は原則として不可能または不安定になります。
- SIM1:○○モバイル(データ用)
- SIM2:△△モバイル(通話用)
どちらもプロファイルが必要な格安SIMであれば、iPhoneはどちらか一方しか正しく動作しません。
一方を優先すれば、もう一方の通信ができなくなる、あるいは不安定になることがあります。
格安SIMと格安SIMの組み合わせが難しい理由
この仕様により、iPhoneで「格安SIM×格安SIM」の運用には以下の問題が生じます:
- プロファイルが上書きされてしまう
→ 一方を設定すると、もう一方が通信できなくなる可能性 - 一部の格安SIMはプロファイル不要
→ これなら組み合わせ可能だが、選択肢が限られる - 通信トラブルが起きやすい
→ 圏外になったり、モバイルデータ通信が途切れたりすることがある
そのため、iPhoneでの格安SIMデュアル運用は慎重にプラン・SIM会社を選ぶ必要があります。
対策:片方はプロファイル不要なSIMを選ぶ
一番現実的な対策は、「プロファイル不要な格安SIM」と組み合わせることです。
たとえば、以下の格安SIMはプロファイル不要で、iPhoneの初期設定だけで使える場合があります:
- IIJmioのeSIM(データ通信)
このようなSIMを組み合わせることで、「プロファイルが1つしか入らない問題」を回避できます。
Androidならどうなの?
ちなみにAndroidスマホの多くでは、複数のプロファイルを扱えるものもあります。
また、APN設定を手動で行える機種が多いため、iPhoneより柔軟に格安SIM×格安SIMの運用ができるケースもあります。
ただし、すべてのAndroidが対応しているわけではないため、購入前にデュアルSIM運用の仕様をチェックするのが安心です。
まとめ:iPhoneユーザーはプロファイルに要注意!
格安SIMは上手に使えばスマホ料金を大幅に節約できます。
さらにデュアルSIMを使えば、用途ごとにSIMを使い分けて、より効率的な通信が可能になります。
しかしiPhoneの場合、構成プロファイルが1つしかインストールできないという仕様により、格安SIM×格安SIMのデュアル運用には制限があります。
これを知らずに契約してしまうと、うまく通信できなかったり、設定トラブルに悩まされることも…。
iPhoneで格安SIMを2つ使いたい場合は、
- プロファイル不要のSIMを選ぶ
- プロファイルが不要なプランで揃える
といった工夫が必要です。
あなたのスマホ代節約がうまくいくよう、ぜひこの記事を参考にしてみてください!